2008年2月4日

『「カルト」を問い直す』 櫻井義秀

「カルト」を問い直す―信教の自由というリスク (中公新書ラクレ)「カルト」を問い直す―信教の自由というリスク (中公新書ラクレ)
櫻井 義秀

中央公論新社 2006-01
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これは良い本。
著者は、責任逃れをしがちな「原則リベラル」の立場も、高みから見下ろす宗教学者の立場も、「人権屋」の立場もとらず、突然に「カルト」問題に巻き込まれてとまどう生活者の視点を忘れない。
勤務する大学で、「カルト」の勧誘を受けた生徒の相談に応じたりもしているそうな。

しかし、「カルト」の一般的な定義っていうのは、一体どうなってるんやろうか。
本書では、「『カルト』とは集団特性や活動内容に対して一般社会が命名する『社会問題化した宗教』というラベルである。」としている。
けれども、それだと、宗教団体ではないものの、実際に社会問題になった、たとえばヤマギシ会やなんかが入らなくなってしまよなあ。
それに、「宗教じゃないから」「一緒に人生の目的について真面目に考えようよ」とか言われたとき、「宗教じゃないならカルトやないし、いい人達やし、まあいいか。」てなってしまうんじゃ?

伝統的な宗教団体や、その一部が「カルト」化する場合を考えると、なんぼうまいことラベリングしても追っつかないのかなぁ。

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