『法華経入門』 菅野博史
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良著、だと思う。
釈尊の誕生から大乗仏教成立までの歴史、大乗仏教教典での法華経の位置づけとオリジナリティ、日本での受容、これらがわかりやすくまとめられている。
日蓮以降の法華経信者が、悪く言えば狂信的なイメージを持たれる理由に、地涌の菩薩観がもたらす、ある種の独善性をあげている。
現代のうっとうしいまでの折伏活動には、これで納得。
思うに、加えて、法華経にしめされた、迫害の予言も、法華系新宗教のカルト性へつながっているのではないか。
迫害予言の背景には、法華経成立時点の「法華経」信仰者と伝統仏教との間の緊張関係があった、ということなのだろう。
さて、「地涌の菩薩」自覚を持つには、輪廻転生観を受け入れていることが前提になるように思うのだが、現代で法華にはまる人もやっぱりそうなのだろうか?
輪廻転生って、まだそんなに「常識」なの?
また、唱題が結局の所、陀羅尼化してしまった、その萌芽がどこにあったのかを知りたかったが、これは本著の範疇外の模様。
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