2008年1月21日

『荒野(あらの)の宗教・緑の宗教』 久保田 展弘

荒野(あらの)の宗教・緑の宗教―報復から共存へ (PHP新書)荒野(あらの)の宗教・緑の宗教―報復から共存へ (PHP新書)
久保田 展弘

PHP研究所 2004-08
売り上げランキング : 387019

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


なぜ、戦争は肯定されるのか。
戦争の主要な原因が、たとえば貧富であったとしても、宗教が戦争への一歩を後押しするのではないか。
それはなぜか、どうすればよいか。
これが本著のテーマ。

著者は、唯一神教であるユダヤ教・キリスト教・イスラムのと、インドの諸宗教および日本の神仏習合宗教を比較する。

前者は生命の乏しい荒野で生まれ育った宗教であり、厳格な戒めの下、「神による報復」観念が見られる。
後者は、多種多様な自然・生命に囲まれて育った「緑の宗教」であり、他社に対して非常に寛容である。

結論として、著者は前者を「否定神学」、後者を「肯定神学」と呼び、後者への回帰を説く。

著者の問題意識には共感する。
著者の結論を否定するだけの見識は持っていない。
しかし、疑問が残った。

一つは、著者の分析が的を得たものであったとして、はたして著者の主張は、現に荒野に生きている人々に届くのか、ということ。
もう一つは、単純な二元論的にも見える問題の整理のやり方。

0 件のコメント: